スマートデバイスは便利そうだし、導入はしたい...けれど何から始めればいいのか課題さえよく分からない...
PCとは何が違うの?むしろ違いはあるの?
なんてお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
企業でスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスを導入する場合、どういった要素が重要になってくるでしょうか。
これからご紹介する「導入ライフサイクル」は、PCの世界ではほぼ広まってきている「ライフサイクルマネジメント」という考え方です。
しかし、スマートデバイスに置き換えてみると、若干異なる点が存在します。
この「スマートデバイス導入ライフサイクル」では、PC導入ライフサイクルと比較をしながら、スマートデバイス導入ライフサイクルを "11のフェーズ" に分けてご紹介していきます。
スマートデバイス導入ライフサイクルマネジメント図
※ライフサイクルマネジメントとは
企画・調達・導入・運用・廃棄全般にわたって管理を行うことです。
その目的は社内ユーザーに対する満足度を高く保ちながら、コンプライアンスとリスクに対応したサービスの提供です。
スマートデバイス導入において、このフェーズで検討する内容はPCの場合と似ていますが、PCとの大きな違いは
(1)無線(cellularやWiFi)であること
(2)主流OSがAppleの「iOS」とGoogleの「Android」で占められること
の2点です。
スマートフォンやタブレットの使用上の醍醐味は、無線を通して使用するアプリケーションを手に入れたり、ネットワークにつなぐことにあるといってもよいでしょう。
よって、無線の環境を考えたり、アクセス方法を検討することは必須といえます。
また、PCの導入においては検討することのない企業もあるかもしれませんが、スマートデバイス導入においてはそれぞれのOS特性を前もって知っておく必要があるでしょう。
市販の本やWebサイト、AppleやGoogleのホームページの情報をまとめたり、ベンダーのコンサルティングサービスを活用するなど、方法は様々です。
さて、最も肝に据えたいのが、このポリシー設計です。
PC導入の際、皆さまの企業ではこのポリシー設計を必ず行っていることでしょう。
スマートデバイス導入の際も「費用」、「目的」、「社内の対象組織や人」、「使用・運用時間」、「体制」、「導入時期」、「リスクヘッジ」のほか、「なぜ導入するのか」、そして「導入することによって、その企業が本業としていることに対してどのような効果があるのか」を十分に検討し、存在するリスクを可視化しておくことが重要です。
既存のポリシーを大幅に変更しなければならなかったり、あるいは引き続き活かすことも視野に入れる必要があります。
ここからは、スマートデバイス導入を企業として決定した後の話となります。
まずは、ネットワークの環境整備です。
cellular版を導入する場合は、通信会社のネットワークを使用することになりますが、スピードの問題やセキュリティーの問題があることを考慮しなくてはなりません。
WiFi環境の場合は、社内接続のみなのか、社外へも接続にするかなどを考慮した上で、ユーザーにとってストレスなく通信できる十分な環境を構築する必要があるでしょう。
アクセスポイントの配置やネットワーク設計などをサービス化している機器メーカーさんもいらっしゃいますので、そちらを利用するのも一つの手です。
さて、実際にスマートデバイスを導入してみましょう。
箱を開けて、充電さえしてしまえば、デバイス単体での機能はすぐに使用することが可能です。
電源を入れてからの起動の早さがスマートデバイスの大きな魅力の一つです。
ただ、会社のネットワークにつながなければ、単に様々なアプリケーションを使えるだけの個人端末となり、これはPCと同様に会社で導入する意味がないと考えられます。
携帯電話として使用するだけでは、その豊富な性能が活かされず、非常にもったいないと思いませんか。
また、社内配布する場合は、セキュリティー面を重視して紛失や盗難対策も十分に考慮しなくてはならないでしょう。
段階を踏んで、細かく配布のスケジュールを組むことが成功の近道になります。
PC導入の場合、過去の経験を活かし、自社の情報システム部門や各個人によって設定が可能であったり、導入する馴染みの会社に依頼すれば設定を請け負ってもらえることもあるでしょう。
しかしながら、スマートデバイス導入の場合は以下の2点の注意事項があげられます。
(1)スマートデバイスはまだ市場に現れてから年数が十分に経過していないこと
(2)設定を熟知している会社がまだ極めて少ないこと
これはiOSやAndroidの技術者が育っていないことや、AppleやGoogleのビジネスの仕組みそのものがまだ十分に浸透していないことに起因していると思われます。
PCとは異なり、現在スマートデバイスはクローンを作成し大量台数を一括設定することも不可能です。
ただし、Mobile Device Management(モバイルデバイスマネジメント=携帯端末管理)と呼ばれる社内ポリシーを遠隔から一斉に適用することができる製品も出てきています。
また、デバイス情報(OSバージョン/電話番号/端末識別子等)を取得し、一元的に管理することもできます。
加えて、企業が認可したデバイスのみをネットワークに接続させる、より高い信頼や本人確認を行うデバイス認証電子証明書のサービスも提供されています。
これらの製品を有効に活用して、実際に現場の要求を満たすか、運用面において上手くいくかを判断するために、一部ユーザーに限定した小規模なスタートを切ることが失敗しない一つの手法になります。
以上、スマートデバイス導入サイクル11フェーズの中から、導入検討・計画からデバイス設定/管理/認証/テストスタートまでをご紹介しました。
皆さまのスマートデバイス企業導入の手がかりとなれば幸いです。
次回は、「スマートデバイスを導入したはいいが大して活用できずに終わってしまった」とならないよう、実際の業務活用に関わるアプリケーション導入や社員教育などについて、ご紹介します。
(中編へ続く)
<参考>
◆Mobile Device Management
製品名:CLOMO MDM
開発元/提供元:株式会社アイキューブドシステムズ
製品名:MobileIron
開発元/提供元:MobileIron
◆デバイス認証電子証明書
製品名:サイバートラスト デバイスID
開発元/提供元:サイバートラスト株式会社
製品名:ベリサイン マネージド PKI for Device
開発元/提供元:日本ベリサイン株式会社
この記事に掲載されているデータは2012年08月31日時点のものです。
[掲載日:2012/08/31]