ここ数年で教室へのタブレット導入が急激に進んでいます。大学や私立高校はもちろん、公立の小中高校でも授業での活用が様々なかたちで行われ、公開授業や発表会で活用方法についての議論が活発に進められています。文部科学省の掲げる2020年の1人1台環境実現も、現実味を帯びてきました。
こうしたなか新たな課題として挙げられているのが、タブレットの運用・管理についての問題です。この課題を解決し、管理者の運用が容易で、子どもたちが安全に学習できる環境を整える手段として、今注目されているのがMDM(Mobile Device Management)です。どのような機能があり何が便利になるのか、詳しく紹介していきます。
授業でタブレットを活用する際、どのような科目でもアプリは欠かせないツールとなっています。また、無線LANでネットワークにつなぎ、教員が問題集を配信したり、児童生徒がタブレットに書き込んだ成果物などを共有し、議論を深めたりするような場面も多く見られます。
使いやすいアプリやタブレットの種類については様々に語られていますが、アプリのインストールやWi-Fi接続のための設定といった作業は誰が行うのかという議論はこれまで十分ではなかったように見受けられます。実際のところ、IT支援員がいる一部の学校を除き、こうした作業に通じた教職員が授業の合間をみて対応するというのが現状ではないでしょうか。
これからさらに進む1人1台環境に、こうした方法だけで果たして対応していけるのかと考えると疑問が残ります。 また、県や市町村の教育委員会がアプリを購入して学校へ一斉配布し、運用については各学校が担当するといった場合、運用・管理の面で課題が生じます。
学校側でも管理者、学年主任、クラス担当といった立場ごとに、それぞれが担当する職務の違いに合わせて、タブレットの管理・運用方法を細かく設定する必要があるのです。タブレットにある管理機能だけではこうした運用ごとの設定に対応できないこともあり、教育現場での運用・管理に関してはこれからの課題だと言えます。
こうした課題を解決するサービスとして、注目を集めているのがMDM(Mobile Device Management)です。これは、PCに近い機能を持つスマートフォンやタブレットを、情報セキュリティの観点から管理・運用するためのソフトウェアのこと。 これまでは企業での利用が中心となっていて、端末情報のバックアップ、紛失時の第三者による不正利用対策、アプリや顧客情報の配布・更新、各使用者による想定外の機器利用などを実現するスマートデバイス運用のサービスとして、数多くの企業で活用されています。
たとえば、営業員が外出先でタブレットを紛失した場合、遠隔での操作制限として「ワイプ(削除)」や「ロック(利用できなくする)」の操作をすることで、不正利用や顧客情報などの流失を防ぐことができるほか、使用者がデバイスにインストールしたアプリや、デバイスの利用頻度といった情報を収集・管理することができます。
こうした企業での活用とは状況が多少異なり、学校での活用理由として挙げられるのは、セキュリティ面とともに教員他管理者の業務効率化に関する点でしょう。タブレットを授業で活用するためには、アプリの追加・バージョンアップやWi-Fi接続の設定が必要です。しかし、ただでさえ多忙な教員にタブレットを1台1台回収し変更作業を担わせるのは、現実的とは言えません。「煩雑なタブレット管理から教師を解放する」。教育現場でのMDM活用に期待が集まるのはこうした現状が背景にあるからなのです。
インヴェンティットでは、教育機関を対象にしたスマートデバイスの遠隔管理ソリューション「MobiConnect for Education(モビ・コネクトフォーエデュケーション)」を提供しています。このサービスをベースにMDMの主な機能を3つ、紹介しましょう。
1つ目は、効率的なアプリ配布ができること。
アプリ導入がある度にタブレットを回収して1台ずつ設定するには大変手間がかかります。MDMの機能を使えば、遠隔での操作で一括インストールが可能。アプリインストール以外にも、運用改善や年次イベントごとに発生するタブレットの設定変更などを行うこともできます。
また、MobiConnect for Educationならではの特長として、アプリのインストールを遠隔でグループ単位に行え、クラス替え等で不要になったアプリの削除も同様に行えるメリットがあります。さらに、Appleが企業や教育機関向けに提供するプログラム"VPP"に対応したiOS向けアプリ管理・配布機能と、マイクロソフトのOS"Windows 8.1"に対応した「Open MDM」を搭載するなど、教育現場の環境に合わせた機能が整っています。
2つ目は、複数の管理者ごとに利用できる機能や管理対象となるタブレットの設定ができることです。
学校により生徒の数やクラス編制、運用体制等は様々ですが、MobiConnect for Educationならば、教育現場での課題に対応できる柔軟運用が可能。たとえば、教育委員会はポリシー決定とアプリの選定を担当するため、全体の管理を行えるよう「MDM全機能を利用可能」とし、学校のICT責任教員には学校へ任された権限全体の管理を行うために「MDM全機能を利用可能」を設定、クラス担任には学年やクラス限定の管理権限を任せるため「授業で使うアプリの配信」「タブレット紛失時のロック・ワイプ」とするなど、細やかな管理分担の設定が行えます。
3つ目は、子どもたちの利用時間に合わせたポリシー設定が行えることです。
子どもたちの興味を授業に引きつける効果のあるタブレットも、反面で使い方により集中力の妨げになる場合があります。MobiConnect for Educationには、時間帯により異なるポリシーをタブレットに設定する機能があります。就学時間はブラウザやAppストアを制限し、就学時間が終わったらその制限を解除して調べ学習等ができる環境を提供することもできるのです。
さらに、紛失・盗難時に遠隔でタブレットをロックして不正利用を防ぐ遠隔ロック、パスワード強制化、カメラ制限やインストール制限などのデバイス制限といった機能などがあり、利用者の必要に応じて最適な機能を選択しコストを最適化することもできます。
「教師や管理者の負担を軽減し、安全便利に学習利用できる環境を整える」。 教育現場での効率的で効果的なタブレット運用・管理を行うために、MDMは欠かせないものになるでしょう。
この記事に掲載されているデータは2015年07月28日時点のものです。
[掲載日:2015/07/28]